『ハウルの動く城』ドイツ語版

ママが先回の記事でお知らせしましたが、クレマチスは8月31日木曜日~9月4日月曜日までお休みです。休みすぎ??いえいえ、年間有給休暇が六週間あるドイツから見ると、まだまだですよwゆっくり羽を伸ばして来てね!

ということで、再びドイツからの更新です。

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こちらは今年の夏の休暇で再び訪れたアルザスの村、リクヴィールですが、『ハウルの動く城』のモデルとなった街だと思うと、映画をもう一度見たくなりました。

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『ハウルの動く城』ドイツ語版がこちら。タイトルは『Das wandelnde Schloss』、直訳すると、「彷徨える城」となります。この映画、ドイツでは「六歳以上対象」となっています。因みに同じジブリ映画の『もののけ姫』と『風の谷のナウシカ』は「R12指定」です。ドイツは真昼間から「大人の玩具」やコ〇ドームの宣伝をしていたり、夜の一定の時刻を過ぎるとアダルト関連のコマーシャルを無修正で放映していたり、そういう面に関しては「おおらか」なんですが、「暴力表現」に関する規制は厳しいようです。派手な流血シーンがある映画はメジャーなアクション・スリラーでも「R16指定」。夜の10時以降にならないと放映されません。おまけにかなりカットされてます。更に性暴力とナチスや人種差別に関する詳細で残虐な描写が加わると「R18指定」になるようです。

さて、『ハウル』のドイツ語版の感想ですが…ハウルがめちゃヨーロピアンな紳士でびっくりしました。原語版のハウルは確か「子供のまま大人になった、我儘で傍若無人だけど純真な男」という設定だったと思うのですが、ドイツ語版では「意気地なしで女々しいけど紳士で優しい男」になってました。以前、アナ雪の記事を書いた時にも思ったのですが、アニメ映画の吹き替えって、実写映画以上に色々とその言語に合わせて設定を変化させることができるようです。で、作品の雰囲気を壊さない程度に、その言語圏の視聴者が受け入れやすいよう、輸入元が翻訳・吹き替えで調整しているのじゃないかな…と。

確かに原語版のハウルをそのまま直訳しただけではヨーロッパの視聴者にはハウルの魅力が伝わりにくいようにも思います。ドイツ語版のハウルは、いかにも「あー、こういう男、フランス人にいそうだわw」というリアリティのある人物像に仕上がっています。で、確かにソフィーの故郷の街がリクヴィールだとすると、舞台は本当にフランスだし、ハウルはフランス人、少なくともフランス文化圏の男ということになりますね。

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個人的にはソフィーの故郷はリクヴィールよりもコルマールやリボーヴィレなんじゃないかと思うのですが…でも、「アルザスの街だ!」と意識して見ると、映画の見え方もまた変わってきます。冒頭のシーンで兵隊に声をかけられたソフィーが「この街の娘?」と言われてかなりおびえて引いていますが、ソフィーが容姿にコンプレックスのある奥手でナイーヴな少女だという設定を考え合わせても、自国の兵隊たちにここまで疎外感を感じている理由、「アルザスの街だ」と思えば納得です。普仏戦争でドイツ領となるまでフランス領だったアルザスですが、住んでいたのはドイツ語の方言を話すドイツ系の人々だったはずなので、フランス軍に疎外感を感じていたとしても不思議ではありません。
…とすると、作中に出てくる戦争とは、普仏戦争のこと?…その辺りは史実とフィクションが交錯する所ですね。

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こんな感じの袋小路じゃなかったでしたっけ?ソフィーが兵隊たちに声をかけられ、ハウルと初めて出会ったのは…。

地理的にも、「ソフィーの街はアルザスの街」と思ってみると、辻褄が合っているように感じます。呪いで姿を変えられ、街を去るソフィーが郊外の村で「この先は魔女や魔法使いしかいない荒地だよ」と告げられますが、確かに、アルザスからドイツ国境を背にして南に向かうと本当に「魔女や魔法使いしかいないような」荒地が延々と広がっています。実は、わたしたちがプロヴァンスからの帰り道に遭遇した「怪異村」は、その荒地を更に南進した「何もない場所」にあるのです。で、ドイツ語版の『ハウル』では、この「荒地」や「荒地の魔女」の荒地は「Niemandsland」と訳されているのですが、これ、直訳すると「何もない場所」という意味なのです!

ドイツ語版、よくできてる!と思うのはわたしだけでしょうか。。

実際にアルザスから「何もない場所」を通り、怪異村方面に行かずにほんの少し進路を東に逸らすと…こんな風景が現れます。

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『ハウルの動く城』でも、荒地の向こうに氷河をいただく険しい山並みが描かれていますね。
そして、ついにこんな場所に辿り着きます!

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「星の湖!」は『ハウル』の作中の呼び名ですが、どこだかわかりますか?
スイスですよ!
アルザスはスイスにも近いんです。

…で、思いついちゃった!
今度ママたちがこっちに遊びに来てくれたら、『ハウル』ツアーを敢行!!
わたしが「ソフィーの街」有力候補だと(勝手に)思うリボーヴィレの古民家を貸切ってソフィーの暮らしを体験!その後南東に進路を取って、「荒地」の風景を楽しみながらスイスの湖水地方へ!最終的には映画に出てきた「王都」の宮殿のような、丘の上のお城に宿泊です。

完全にわたしの趣味??でももう予約しちゃった!
ママとパパ、来てね!

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「アナと雪の女王」ドイツ語版

ものすごい出遅れた感満載ですが、ディズニーの「アナと雪の女王」を今更ながら見てみました。

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なんとなく寂しいのでフィンランド旅行時に撮影したそれらしい凍結港の写真でも貼ってみます↑

日本では一時期「社会現象」(?)と言ってもいいくらいのブームになっていたようですが、ドイツではそこまで騒がれてはおらず、なんだか日本でのアナ雪関連のニュースを見ては取り残された気分になってました。どうやら本場のアメリカはともかく、「舞台」となったヨーロッパよりも韓国や日本など東アジアの女性たち(子供ではなく)から支持されているらしいというのが興味深いです。韓国の事情はよく知りませんが、こと、日本に関しては、実は翻訳もこの人気に一役買っているらしい…というので、語学を仕事にしている人間としては興味をそそられ、今更ながら、見てみようと思ったのです。

日本の皆さんはもうおなか一杯かもしれませんが、このブログでは初となる映画感想シリーズです。
あ、粗筋は書いていませんが、登場人物同士の関係性はバラしているのでネタバレありということにしておきます。



今回わたしが見たのはドイツ語吹き替え版。ドイツの有料放送から拾ってきたのですが、ドイツって日本と違って字幕文化がないので外国映画は基本吹き替えです。DVDなら英語も選択できるのですが、映画館やテレビ放映はほとんど吹き替えです。でも、有名な「レリゴー」こと主題歌的存在の「ありのままに」だけは日本語・英語・ドイツ語三カ国語見ました。…てわたし、すでにアナ雪オタ化が始まっている?w

日英両方見たという知人の話では、「英語版では三人称の部分が日本語版では一人称語りになっているので日英で歌の意味が微妙に違っている」とのことでしたが、聞いてみると、確かにそうでした。英語版では「扉を閉ざして、自由だが孤独に生きる道を選択しよう」という感じの歌ですが、日本語版だと「ありのままの自分を受け入れて素直に生きるぞー!」という前向きで明るい感じの歌になってるように思います。

因みにドイツ語版はというと…ドイツ語は日本語同様、英語から訳す場合、同じ内容を言い表すのに英語よりも語彙数が多くなるためある程度意訳しないと口数が追い付かなくなります。そのため、どうしても省略が多くなります。そうするとどうなるかというと、元々ドイツ語の単語は英語よりも単語一つ一つの意味が強いです。英語でシット(くそ)!と言うのとドイツ語でシャイセ(同じくくそ)!と言うのでは、ドイツ語のほうがより、きつい意味になります。そのためかなり強烈な意味の歌になり、はっきり言って怖いです。

日本語版で「二度と涙は流さないわ」という部分はドイツ語だと「あなたがたに見せる涙などない」となり、日本語版だと「ありのままの自分になるの~少しも寒くないわ、どこまでやれるか自分を試したいの、そうよ変わるのよ私」云々というサビの部分がドイツ語だと「もうたくさん!今解き放つ、私を駆り立てる内なる力。この力は無限。この冷たさ(冷酷さの意もあり)はわたしの一部。来るところまで来てしまった。覚悟は決まった!」となります。まさに「疾風怒濤」、ベートーヴェン作曲、シラー作詞みたいな感じの歌になります。いや、まじでw
ちなみにクリスが面白がってこのドイツ語版を家でよく歌ってるんですが、男の声で歌われるともう軍歌のようです。

英語版が肩ひじ張った孤独な自由人の歌、日本語版が素直に生きる決意をした元優等生ちゃんのがんばる歌なら、ドイツ語版はなんだかエルサが厨二気味なイタイ子みたいですwでこの痛痛しさがまたなんとも言えない投げやりな悲壮感というか自虐的な厭世感を醸し出しているわけです。…とまぁ、それぞれのお国柄が出ていること!

オリジナルはもちろん英語なので英語版がやはり一番意味が深いんでしょうが、日本語版・ドイツ語版もそれぞれの言語の特徴を生かしながらそれぞれの国の視聴者が共感しやすいように工夫した訳者の創意が伝わってきますね。個人的には、わたしはドイツ版のあの悲壮感が好きです。

また、物語の前後の文脈も考えると、あの歌はどちらかというと「素直に生きることに決めた元優等生ちゃんの歌」というよりも、元々周囲に馴染めなかった強烈な個性の持ち主が、ついにブチ切れて完全に自分の殻に閉じこもってしまう歌なので、ドイツ語版のおどろおどろしさ、怖さの方が物語に即してはいると思います。

ところで、わたしがドイツ語版で見たからそう思うのかもしれませんが、日本の女性ファンの多くが共感しているのがエルサだという話を聞いて結構衝撃でした。皆さん、普段どれだけ抑圧されてるんですか!?と。悲壮で自虐的なヒロイン好きなわたしとしてはエルサちゃん大好きなんですが、自分と重ね合わせて共感…というのとはちょっと違うかもしれません。…まぁ、わたし、たぶん自分を押し殺して生きてきた優等生でもないので日本版見ても同じかもしれませんが。

わたしはどちらかというとアナの方に共感しました。
そのせいかもしれませんが、クリストフがクリスにかぶってしょうがない(笑)。
名前も似てるし。
クリスも今でこそフランクフルトみたいな金融都市で銀行マンやってますが、元はああいう田舎っぺです。明るくて優しそうに見えるけれど実は人間嫌いとか、実はすごい頑固とか、めちゃめちゃかぶりますね。ちなみにクリスはドイツ人ですがアンデルセンの故郷デンマークの血も4分の1入ってます。

それにしても、この映画は女性キャラの作りがしっかりしているということで評価されていますが、わたしはむしろ最近のディズニー映画は男性キャラが益々現実味を帯びて充実してきていると思います。今回もそうで、あの、何ですか、雪だるま?も含めて主要男性キャラが誰を取っても「あぁいるよなぁ、こういうやつ身近にw」と感じられるような仕上がりになっていると思います。

例えばわたしはあの雪だるまのオラーフが義父(クリスの父親)にかぶってしょうがないw
そしてハンスは顔も性格もクリスの会社の某マネージャーにそっくりw
あのマネージャーもハンスのように最終的に自分の野心に溺れて破滅しそうな気が←

…と、わたしは男性キャラの充実もこの映画の良さの一つだと思っています。
なので案外娘さんや奥様に言われて一緒に見た男性陣も楽しめたのではないでしょうか。

最後に、フィンランドで撮ったクリスのクリストフっぽい(?)写真を置いていきます↓

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ドイツの市民大学

ドイツでは、いわゆる生涯学習活動が盛んで、中小以上の都市には必ずと言ってよいほどVolkshochschuleというものがあります。直訳すると、「国民高等学校」…なんだか戦時中みたいな名前ですが、日本で言う、市民大学のような存在です。政治や哲学、文学、語学など、日本で言う所の「文系」科目を中心に、芸術やスポーツなども加え、様々な講座を市民に格安で提供しています。外国人や移民の人々のためにドイツ語を教える講座もあります。

わたしはドイツに来る前に日本の大学でドイツ語を勉強してしまったので、市民大学のドイツ語講座にお世話になる機会はありませんでしたが、最近、ここのイタリア語講座とフランス語講座に通い始めました。

市民大学の入学資格は、「物理的に通える場所に住んでいること」というの以外は「特になし」。学歴も年齢も問われません。なので、教室には様々な年齢層・様々な職業の人たちが来ています。

イタリア語講座は、主に東ベルリン出身の熟年層。念願かなってイタリアに長期滞在…その前に、ちょっと語学を!という人たちが多いようです。

一方、フランス語講座の方は、将来キャリアに役立てたい…という若い人たちが多いようです。
そしてこれが、フランス語講座の会場。

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旧西ベルリン地区の市庁舎なので、まるでお城のように豪華です。
ドイツでは、公共施設、特に市庁舎が街で一番豪華な建物である場合が多いのです。

わたしがイタリア語とフランス語を習い始めたのは、旅行に行きたいから!
そして、実はもうずっと以前から、語学が趣味で、語学オタクだから。…そうでもなければ、ここまで情熱的に(笑)ドイツ語なんて勉強していませんって!

ドイツって、実を言うと語学オタクにとってはとてもつまらない国なんです。…だって、折角ドイツ語を勉強して行っても、英語が通じてしまうので。だから英語が通じない国であればある程、語学オタ的には旅情をそそられるというものなのです。

先回のスペインは、ヨーロッパの中では英語が比較的通じにくい国で有名ですが、クリスがスペイン語が話せるのでわたしは語学オタ力を発揮する機会がありませんでした。…が、次回は是非、イタリアかフランスでリベンジです!

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クレマチ店主(母)/アコ(娘)+クリス(娘婿)

Author:クレマチ店主(母)/アコ(娘)+クリス(娘婿)
はじめまして!
アンティークショップ「クレマチス」(http://antique-clematis.sakura.ne.jp)店主の娘、アコです。

日本の古いものは大切に、でも、新しいもの・異質なものも寛容に受け入れる…そんな母の元、小さいころから日本舞踊を習い、現「クレマチス」店舗である祖母の古い日本家屋で、着物や日本の古いものにたくさん触れる一方、ピアノや外国語を習わせてもらったり、父の趣味であるクラッシック音楽や西洋美術を身近に触れる日々を送ってきました。

そんな両親の教育が功を奏し…いや、仇となり(?)、実生活にはあまり役に立たない比較文化分野で大学に居残り、これまたあまり役に立たないドイツ語だけペラペラに。おまけに語学を通して若くてイケメンな(笑)ドイツ人の夫と出会ってしまい、海外に嫁ぐという親不孝っぷり。

そんな娘を、ずっと温かく見守ってくれていた母。そんな母が、「古いものを大切にする喜びを、少しでも多くの人と分かち合いたい」という純粋な気持ちで、亡き祖母の家で始めた小さなアンティークショップ。元々、ずっと苦楽を共にした姑である祖母の家を、大好きなアンティークに囲まれた素敵な空間にしたい…という素朴な思いから始めたこのお店が、あれよあれよという間にいろいろなご縁を引き寄せて、母はいつの間にか、昔夢見たアンティークショップの店主になってました。

「古き良きものに洋の東西はない。和と洋は、互いを引き立て合う良きパートナーになれる!」…母が「クレマチス」で体現している価値観は、わたしたち夫婦のモットーでもあります。

このブログでは、そんな母と二人三脚で、「クレマチス」のお店の情報と併せてドイツの生活・風物について少しずつ紹介していきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。

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