光の芸術ルネ・ラリック

2月に入り、もう10日もたちました。
まだまだ寒い日が続きますが、「2月は光の春」と言いますよね。春の予感がするキラキラした陽ざしがあちらこちらに踊ります。
庭のハナミズキの硬い小さな蕾にも、窓辺に飾った観葉植物の葉先にも。
毎年ですと、この時期には「光の春のガラス展」などを開催しています。ですが今年はコロナ禍の中、緊急事態宣言も延長され、心塞ぐ思いで過ごしているのは私だけではなく、皆さん同じではないでしょうか。
ですが、精神的にも肉体的にもギリギリの状態で休みなく働いていらっしゃる医療関係の方々の事を思えば、弱音は吐けません。
私が参加している図書館のボランティアグループのお仲間にも若いママで頑張っていらっしゃる方がいらして、頭の下がる思いです。

2月になると、ルネ・ラリックの作品を飾りたくなります。(本当は一年中見ていたいのですが。猫のミーシャの悪戯が不安で、高さのあるものはしまってあるのです。)
ガラスの好きな私はガレもドームも好きですが、ラリックは特に好きな作家です。ガレの個性溢れる芸術品も、優しい景色や植物の命をガラスに映し込んだようなドーム兄弟の作品も好きですが、光をそこに集めたような、「光の芸術」とでも言えるラリックの作品はとても好きです。

ラリックは、初めは装飾品のデザイナーであり創作者でした。コウモリやクジャク、或いは花蜂などなど色々な生物や植物を金・銀・ガラス・七宝と宝石などを自在に組み合わせ、数々の美しい装飾品を創り上げていました。

パリ装飾美術館に所蔵されている髪飾り「花蜂」は、植物の蕾に留まる3匹の花蜂をリアルに表現していますが、素材の主役は薄く青く透き通る美しいガラスです。その薄青いガラスの花蜂が、植物の蕾を表現するカットダイヤより美しいのです。
と言っても、まだ本物にお目にかかった事はないのですが!
いつか会えるでしょうか!

その後ラリックは装飾品の創作をやめて、芸術的ガラス製品創りに専念することとなります。
そのガラス製品は、ガレやドームのものよりも、もっと家庭で多くの人たちに使ってもらえるような花器や皿や鉢。或いは彫像、或いはグラスや香水瓶。
「型吹き成形」で作られたのが、口が胴よりも小さな形をした袋状のもの、香水瓶や壺などで、「プレス成形」で作られたのは深いレリーフのある口の広がった花瓶、皿や鉢、彫像などです。そのいずれも、ラリックは色ガラスを用いることはなく、無色ガラスを用いるかパチネの技法でごく薄く色を付けていました。

それによって、ラリックの作品の表面には光が踊り、光が集まるのです。

そして、光がガラスを透過するのをより強く感じられます。

3月中旬には「春のアンティークフェア」を開催できると良いのですが。