ドレスデンのクリスマス市

先週末、クリスの運転で、東ドイツのチェコ国境に近い街、ドレスデンのクリスマス市に行ってきました。

CIMG5489_convert_20131212040634.jpg

クリスマス市はドイツ全国どこにでもあり、もちろんベルリン市内にも山ほどあるにもかかわらず、どうしてわざわざドレスデンなのかというと、お目当てがドイツ小物だからです。というのも、ドレスデンはドイツ小物のお膝元なのです!

ママのお店、クレマチスにも毎年送っているドイツレース、プラウエナー・シュピッツェンの生産地であるプラウエン、それから木彫りの人形やクリスマス飾りなどで有名なエルツゲビルゲも、ドイツのどこにあるのかというと、みんな東ドイツのザクセン州。そして、ドレスデンはそのザクセン州の州都なのです。だからここのクリスマス市には、毎年ドイツレースやドイツ小物の老舗屋台が軒を連ね、ドイツで最もたくさんの本場のドイツレース・ドイツ小物が集まるのです。

さて、そんなドレスデンですが、かつてはマイセン陶磁器を生み出したザクセン公国の都でもありました。近隣には、マイセン陶磁器生産地の街、マイセンもあります。隣の軍事国家プロイセンと違い、ザクセンはどちらかというと戦争・征服よりも文化・芸術を愛する王家に支配され、華やかな宮廷文化の中心地となり、美しい宮殿とバロックの街並みは「エルベ川のフィレンツェ」と称されるほどに発展しました。
(写真:ドレスデンのゼンパーオペラ劇場)
CIMG5493_convert_20131212040521.jpg

しかし、第二次世界大戦末期、米英軍による徹底した絨毯爆撃に遭い、街の85%が焼失。美しかった宮殿群・街並み・教会群は灰燼に帰してしまいました。戦後はソ連軍に占領され、その後は共産主義の東ドイツ領となり、工業都市として再建が図られたため、市内には醜悪で質の悪いソ連式高層工業団地や工場群が至る所に建てられました。90年代のドイツ統一後は逆にこの工業都市が大量の失業者を生み出し、郊外ではネオナチの犯罪などが増加して治安も悪化、一時は典型的な荒廃した旧東ドイツの地方都市と化していました。

そんなドレスデンですが、戦争で破壊された美しい街並みを再建しようとする努力が2000年代になって実を結び、廃墟のまま放置されていた宮殿や、瓦礫の山のままだった教会などが、世界中からの寄付金を元に再建され、それに伴い世界中から観光客が訪れるようになり、経済も治安も回復、現在のドレスデン中心部は、壮麗なバロック建築の街並みに高級ブティックや高級ホテルが建ち並び、かつての歴史ある王都の威厳を取り戻しつつあります。

ちなみに、街並みを再現する際に、瓦礫から掘り出したオリジナルの部材をコンピューターを活用して可能な限り元の位置に組み込むという、他のドイツの都市でも採用された再建方法が採られたため、ドレスデンの復元された建造物は、ドイツの他の再建された都市同様、今でも空襲の煤で真っ黒なのです。

CIMG5488_convert_20131212040901.jpg

その、ドレスデンのクリスマス市、日曜日ということもあり、賑わっていました!入り口にはヨーロッパ中からの観光バスが乗りつけ、日本からの観光客の姿もちらほら。わたしたちのドイツ小物の収穫もまずまずでした。

CIMG5485_convert_20131212040808.jpg

かつてのプロイセンの帝都ベルリンのクリスマス市は、どちらかというとモダンでエンターテイメント性を追求したテーマパークと化していて、年々その傾向が酷くなるのでドイツ中から非難を浴びているのですが、それに比べ、文化王国ザクセンの都だったドレスデンのクリスマス市は伝統的で、「これぞ、本場!」の風格を保っています。地元の人たちも、プロイセン人のベルリンっ子がどちらかというと粗野でぶっきら棒なのに対し、ドレスデンの人たちは上品で穏やかです。
とはいえ、ロマンチック街道のある南ドイツや、EU経済の中心地である西ドイツに比べ、東ドイツはまだまだ訪れる人も少なく、ドレスデンのクリスマス市もまだまだ穴場。ドイツのクリスマス市、一つくらい行ってみたいけど、どこがいいのだろう…と迷ったなら、ドレスデンも悪くないかもしれません。

テーマ : ドイツ生活
ジャンル : 海外情報

ベルリンのクリスマス市

今日は、今年初めてWeihnachtsmarkt(クリスマス市)に行ってきました。
ドイツのちょっと大きい街では、街の至る所でクリスマス市をやっています。特にベルリンでは、ホントにもうありとあらゆる場所にクリスマス市が立っているので、それこそ避けて通る方が難しいのですが、雪がしっかり積もってクリスが一緒じゃないとつまらないので、それまでは見てみぬ振りをしてました(笑)。

CIMG4330_convert_20121209093916.jpg

前述の通り、クリスマス市ってベルリンではそこらじゅうでやっているのですが、今日行ってきたのはKurfürstendamm(通称クーダム)の目抜き通りのもの。クーダムって、ベルリンの青山みたいな感じで、高級ブランドブティックや大型デパートが立ち並ぶ、オシャレなショッピング街なのですが…ベルリン観光的視点で言えば、第二次世界大戦中の空襲で半壊したままの状態で保存されているカイザーヴィルヘルム教会のある場所です。ちなみにこの教会、数年前から保存のために全体が保護カバーで覆われてしまい、すっかり見つけにくくなったので、この近くを通ると必ずカメラを片手に途方にくれる観光客の方たちを目撃しますが、ステンドグラスのようなガラスの塔の隣にあるハリボテビルの中です。

ちなみにこのクーダムには、ドイツ一の巨大デパートKaDeWe(カーデーヴェー)があります。普段から、ドイツ中からのおのぼりさんや観光客で溢れていますが、今の時期は内部のクリスマス風レイアウトがとても素敵です。今日も、記念撮影している日本人観光客を見かけました。

去年まで住んでいたヴェストファーレンの田舎の小さな街、ミュンスターと違い、モダンな大都市ベルリンのクリスマス市は、伝統色や宗教色よりも商業色が濃厚。伝統的なドイツのクリスマス市の雰囲気はあまりありませんが、その代り洗練されていて、オシャレで、日本やアメリカのクリスマスにちょっと近い雰囲気だと思います。

とはいえ、ドイツのクリスマス市の定番は変わりません。
ドイツのクリスマス市といえば、これです、Glühwein(グリューヴァイン)!温かい薬味アルコールです。

CIMG4338_convert_20121209094202.jpg

ちなみに右側のクリームが乗っているのはホットココアです。こんなふうに、アルコールが苦手な人や子供用に、ノンアルコールのホットドリンクも売られています。

クリスマス市の傍らには、こんなかわいい子が!

CIMG4334_convert_20121209114651.jpg

このジャーマンシェパード君は、救助犬育成のための義捐金募集のお勤め中。ドイツでは、クリスマスは募金や寄付の季節でもあるので、このような光景をよく見かけます。募金すると、犬に触ったり写真を撮ったり、救助隊のカッコいいお兄さんとお話できたりします←

ベルリンのクリスマス市、日本の家族と友達へのクリスマスプレゼントを選ぶために、今年中にあと数回はお世話になるんじゃないでしょうか。

テーマ : ドイツ生活
ジャンル : 海外情報

天使と鉱夫

先回の記事では、ドイツのクリスマスマーケットについて書きましたが、今回は、そのクリスマスマーケットでよく見かける、ドイツの伝統的なクリスマス飾りの一つを紹介したいと思います。

CIMG1443_convert_20111121211401[1]

ドイツのクリスマスマーケットでは、上の写真のような小さな屋台で、伝統的な木製のクリスマス飾りがよく売られています。
中でもよく見かけるのが、このような一対のかわいらしい人形です。

IMGP1297-.jpg

両手に灯りを持ち、仲睦まじいカップルのようにも見えますが…これ、実は、左側は天使、そして、右側の男性は、鉱山で働く労働者なのです。この服装は、昔のドイツの鉱山労働者の制服を表しているのです。
…クリスマスの飾りなのだから、とりあえず天使はわかるとしても、なぜ、鉱山労働者なのでしょうか。その背景には、ドイツの悲しい歴史があるのです。

このペア人形をはじめ、ドイツの伝統的なクリスマス飾りの故郷は、旧東ドイツのザクセン州にあるErzgebirge(エルツゲビルゲ)という地方です。日本では、「エルツ山地」として知られています。16世紀、この地に鉱山が開かれ、その後約200年に渡って採掘が行われることになります。この鉱山での辛い労働に送り込まれたのが、エルツ地方の家庭の青少年たちでした。

当時の鉱山での労働は、厳しく、危険なものでした。若者たちは、まだ日が昇らない真っ暗な早朝のうちに坑内に送り込まれ、日中ずっと過酷な労働を続けた後、すっかり日が落ち、再び真っ暗になった後にやっと帰路に着きました。そのため、彼らが日の光を見ることはほとんどなかったと言われています。
また、坑内では頻繁に事故が起こり、その度に、大勢の若者たちが死んでいきました。

それでも、貧しかった当時のエルツ地方の人々は、そんな息子たちや若い夫の鉱山労働によって生計を立てるしかありませんでした。

家族のために、暗がりの中で、いつ命を落とすかもわからない鉱山労働に従事する若者たちを思って、この地方の人々が作り始めたのが、この天使と鉱夫がペアになった人形だったのです。

天使の人形は、鉱山で働く若者たちが見ることのできなかった光を表しているのです。…彼らの働く暗い坑道、家族の元へ続く暗い帰路を、いつも天使が照らしてくれますように…そして、せめて心の中では、いつも温かい愛の光が灯っていますように…どうか、息子を、夫をお守りください…この人形には、そんなエルツ地方の人々の願いが込められているのです。

現在、ドイツで最もポピュラーなクリスマスのモチーフの一つとなった「天使と鉱夫」。家族のために、辛い労働に励む人と、そんな家族の帰りを祈りながら待つ人が、クリスマスには一緒に家で平和な一時を過ごせますように…そんな願いを象徴しているようです。

テーマ : ドイツ生活
ジャンル : 海外情報

ドイツのクリスマスマーケット

毎年毎年、冬に向かうこの時期は、北ヨーロッパで最も陰鬱な季節です。
日は、刻一刻と短くなり、遂には午後四時頃から翌八時頃まで街は闇に包まれます。空気は冷たく、毎日雨や霙が降り、じめじめとして、昼でも深い霧が立ち込めます。空はどんより鉛色に曇ったまま、まるでもう二度と晴れることはないのでは?と思うほど、重苦しく家々の屋根にのしかかります。霧なのか、雨なのか、それとも霙なのか、外を歩くたびに、コートはじっとり冷たく濡れます。…そして、空が一段と重苦しく、湿った空気がまるで氷の刃物のように冷たく感じられるある日、雨や霙が最初の雪に変わります。

その年によって違いますが、11月末にはあっという間にこんなふうになることもあります。
CIMG1441_convert_20111121212044[1]
雪が降ると、あまりに寒いので、むしろ温かく感じます。そして雪が降ると、あまりに暗いので、かえって明るく感じるのです。
雪と氷に閉ざされて、周りは一層、孤独な静寂に包まれます。

そんな陰鬱で、暗く、重苦しい季節に真っ先に考えることは、大切な人のことです。そしてこの季節、ドイツ人が何よりも先に大切な人と行きたいと考えるのは、Weihnachtsmarkt(ヴァイナハツマルクト)、クリスマスマーケットです。11月末になると、ドイツのありとあらゆる街の広場に小さな屋台が立ち並びます。この市が立つと、屋台へ向かう人々で、街は一気に活気付きます。
CIMG1456_convert_20111121212505[1]
屋台では、色とりどりのクリスマスの飾り物や、Glühwein(グリューヴァイン)という温かい薬味入りのアルコール、そしてLebkuchen(レープクーヘン)という伝統的なお菓子などが売られています。手作りの民芸品や、伝統的なくるみ割り人形などもクリスマスマーケットの定番です。

CIMG1425_convert_20111121193806[1]
街を歩くと、そこらじゅうからレープクーヘンとグリューヴァインの甘い香りが漂ってきます。寒いから、大切な人と腕を組んで、マーケットの賑わいへ。空は相変わらずどんよりと鉛色。でも、地上は屋台の明かりとクリスマス飾りの輝きで光に満ち溢れています。
ざくざくと、雪と氷を踏みしだく足音、プレゼントを選ぶ人々のひそひそ声、立ちこめる屋台の湯気、人々の吐く白い息、教会前の巨大な樅の木と、この世で最も大切な人と過ごす聖夜への喜び…
CIMG1424_convert_20111121193359[1]

この、温かく、静かで、どことなく神聖な、愛に満ちた雰囲気は、ドイツ語圏のクリスマスマーケット独特のもの。最近では、他の国々からも知られるようになり始め、例えば海を隔てたイギリスでも、ドイツ風のクリスマスマーケットが毎年開催されるようになり、ドイツ人留学生の冬場の良いアルバイト先を提供しています(笑)。
そして日本でも、近年ドイツのクリスマスマーケットで売られている飾りやおもちゃを目にする機会が増えてきました。

母の店、クレマチスでも、クリスとわたしが選んだドイツのクリスマス小物が徐々に増えています。どことなくなつかしく、見ているとなんだか切ない気分になってくるドイツのクリスマス小物達…。「この一年、いろいろあったけれど、今年のクリスマスも、大切な人、家族と過ごせますように!」そんな祈りが籠っているようです。

テーマ : ドイツ生活
ジャンル : 海外情報

sidetitleプロフィールsidetitle

クレマチ店主(母)/アコ(娘)+クリス(娘婿)

Author:クレマチ店主(母)/アコ(娘)+クリス(娘婿)
はじめまして!
アンティークショップ「クレマチス」(http://antique-clematis.sakura.ne.jp)店主の娘、アコです。

日本の古いものは大切に、でも、新しいもの・異質なものも寛容に受け入れる…そんな母の元、小さいころから日本舞踊を習い、現「クレマチス」店舗である祖母の古い日本家屋で、着物や日本の古いものにたくさん触れる一方、ピアノや外国語を習わせてもらったり、父の趣味であるクラッシック音楽や西洋美術を身近に触れる日々を送ってきました。

そんな両親の教育が功を奏し…いや、仇となり(?)、実生活にはあまり役に立たない比較文化分野で大学に居残り、これまたあまり役に立たないドイツ語だけペラペラに。おまけに語学を通して若くてイケメンな(笑)ドイツ人の夫と出会ってしまい、海外に嫁ぐという親不孝っぷり。

そんな娘を、ずっと温かく見守ってくれていた母。そんな母が、「古いものを大切にする喜びを、少しでも多くの人と分かち合いたい」という純粋な気持ちで、亡き祖母の家で始めた小さなアンティークショップ。元々、ずっと苦楽を共にした姑である祖母の家を、大好きなアンティークに囲まれた素敵な空間にしたい…という素朴な思いから始めたこのお店が、あれよあれよという間にいろいろなご縁を引き寄せて、母はいつの間にか、昔夢見たアンティークショップの店主になってました。

「古き良きものに洋の東西はない。和と洋は、互いを引き立て合う良きパートナーになれる!」…母が「クレマチス」で体現している価値観は、わたしたち夫婦のモットーでもあります。

このブログでは、そんな母と二人三脚で、「クレマチス」のお店の情報と併せてドイツの生活・風物について少しずつ紹介していきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。

sidetitleカテゴリsidetitle
sidetitle最新記事sidetitle
sidetitle月別アーカイブsidetitle
sidetitle検索フォームsidetitle
sidetitleリンクsidetitle
sidetitleブロとも申請フォームsidetitle

この人とブロともになる

sidetitleQRコードsidetitle
QRコード