ドイツのクリスマスマーケット

毎年毎年、冬に向かうこの時期は、北ヨーロッパで最も陰鬱な季節です。
日は、刻一刻と短くなり、遂には午後四時頃から翌八時頃まで街は闇に包まれます。空気は冷たく、毎日雨や霙が降り、じめじめとして、昼でも深い霧が立ち込めます。空はどんより鉛色に曇ったまま、まるでもう二度と晴れることはないのでは?と思うほど、重苦しく家々の屋根にのしかかります。霧なのか、雨なのか、それとも霙なのか、外を歩くたびに、コートはじっとり冷たく濡れます。…そして、空が一段と重苦しく、湿った空気がまるで氷の刃物のように冷たく感じられるある日、雨や霙が最初の雪に変わります。

その年によって違いますが、11月末にはあっという間にこんなふうになることもあります。
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雪が降ると、あまりに寒いので、むしろ温かく感じます。そして雪が降ると、あまりに暗いので、かえって明るく感じるのです。
雪と氷に閉ざされて、周りは一層、孤独な静寂に包まれます。

そんな陰鬱で、暗く、重苦しい季節に真っ先に考えることは、大切な人のことです。そしてこの季節、ドイツ人が何よりも先に大切な人と行きたいと考えるのは、Weihnachtsmarkt(ヴァイナハツマルクト)、クリスマスマーケットです。11月末になると、ドイツのありとあらゆる街の広場に小さな屋台が立ち並びます。この市が立つと、屋台へ向かう人々で、街は一気に活気付きます。
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屋台では、色とりどりのクリスマスの飾り物や、Glühwein(グリューヴァイン)という温かい薬味入りのアルコール、そしてLebkuchen(レープクーヘン)という伝統的なお菓子などが売られています。手作りの民芸品や、伝統的なくるみ割り人形などもクリスマスマーケットの定番です。

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街を歩くと、そこらじゅうからレープクーヘンとグリューヴァインの甘い香りが漂ってきます。寒いから、大切な人と腕を組んで、マーケットの賑わいへ。空は相変わらずどんよりと鉛色。でも、地上は屋台の明かりとクリスマス飾りの輝きで光に満ち溢れています。
ざくざくと、雪と氷を踏みしだく足音、プレゼントを選ぶ人々のひそひそ声、立ちこめる屋台の湯気、人々の吐く白い息、教会前の巨大な樅の木と、この世で最も大切な人と過ごす聖夜への喜び…
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この、温かく、静かで、どことなく神聖な、愛に満ちた雰囲気は、ドイツ語圏のクリスマスマーケット独特のもの。最近では、他の国々からも知られるようになり始め、例えば海を隔てたイギリスでも、ドイツ風のクリスマスマーケットが毎年開催されるようになり、ドイツ人留学生の冬場の良いアルバイト先を提供しています(笑)。
そして日本でも、近年ドイツのクリスマスマーケットで売られている飾りやおもちゃを目にする機会が増えてきました。

母の店、クレマチスでも、クリスとわたしが選んだドイツのクリスマス小物が徐々に増えています。どことなくなつかしく、見ているとなんだか切ない気分になってくるドイツのクリスマス小物達…。「この一年、いろいろあったけれど、今年のクリスマスも、大切な人、家族と過ごせますように!」そんな祈りが籠っているようです。

テーマ : ドイツ生活
ジャンル : 海外情報

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クレマチ店主(母)/アコ(娘)+クリス(娘婿)

Author:クレマチ店主(母)/アコ(娘)+クリス(娘婿)
はじめまして!
アンティークショップ「クレマチス」(http://antique-clematis.sakura.ne.jp)店主の娘、アコです。

日本の古いものは大切に、でも、新しいもの・異質なものも寛容に受け入れる…そんな母の元、小さいころから日本舞踊を習い、現「クレマチス」店舗である祖母の古い日本家屋で、着物や日本の古いものにたくさん触れる一方、ピアノや外国語を習わせてもらったり、父の趣味であるクラッシック音楽や西洋美術を身近に触れる日々を送ってきました。

そんな両親の教育が功を奏し…いや、仇となり(?)、実生活にはあまり役に立たない比較文化分野で大学に居残り、これまたあまり役に立たないドイツ語だけペラペラに。おまけに語学を通して若くてイケメンな(笑)ドイツ人の夫と出会ってしまい、海外に嫁ぐという親不孝っぷり。

そんな娘を、ずっと温かく見守ってくれていた母。そんな母が、「古いものを大切にする喜びを、少しでも多くの人と分かち合いたい」という純粋な気持ちで、亡き祖母の家で始めた小さなアンティークショップ。元々、ずっと苦楽を共にした姑である祖母の家を、大好きなアンティークに囲まれた素敵な空間にしたい…という素朴な思いから始めたこのお店が、あれよあれよという間にいろいろなご縁を引き寄せて、母はいつの間にか、昔夢見たアンティークショップの店主になってました。

「古き良きものに洋の東西はない。和と洋は、互いを引き立て合う良きパートナーになれる!」…母が「クレマチス」で体現している価値観は、わたしたち夫婦のモットーでもあります。

このブログでは、そんな母と二人三脚で、「クレマチス」のお店の情報と併せてドイツの生活・風物について少しずつ紹介していきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。

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