ドイツのアンティークアクセサリー

ドイツで「アンティーク蚤の市」と銘打ったフリーマーケットに行くと、アクセサリーは家具や古本、古着などと共に一大カテゴリーを形成しています。…が、気を付けないと、他カテゴリー同様、どこも玉石混淆。安い現代の模倣品なども沢山混じっています。そんな中、本物のアンティークを見極めるには、マーケットに足を運ぶ前に勉強するのは勿論のこと、いざ、蚤の市で購入する際、お店の人とじっくり話すことも大切です。
昔からアンティークアクセサリーを扱い、知識・経験も豊富で良心的な売り手さんは、若い人がアンティークに興味を持って色々質問すると、大抵喜んで色々なエピソードを教えてくれます。そして、売り場には出していない特別な商品を出してきてくれることもあります。
写真はドイツでは知る人ぞ知る、ミュンスターの伝統あるアンティーク蚤の市。
ミュンスターは、以前わたしたちが住んでいたこともある小さな田舎町ですが、夏季限定で開かれるアンティーク市は有名で、毎年ドイツ全土から、いや、国境を越えてイギリスやオランダからも人が集まってきます。
ベルリンやフランクフルトなど、大きくて交通の便も良い有名都市でもアンティーク市はあるのですが、こちらは観光客が集まりやすい…ということで、安い現代の模倣品をアンティークと偽って売る業者、わざわざ東欧や中東からまがい品を大量に持って来て売りさばく業者も沢山出入りしています。だから、色々なアンティーク市を回っては、結局小さな町の知る人ぞ知る、マニアックな蚤の市に戻ってきてしまいます。
さて、蚤の市での仕入れの醍醐味は何といっても値切り交渉。
ドイツの市では値切るのが普通。相手はそれを前提に値段を提示してきます。中には頑なに値切りを拒否する売り手もいますが、何等かの事情があると考えた方が良いようです。全くの素人の売り手さんが、親戚などから譲り受けた品を価値も知らずに信じられないような格安で販売、取りあえずそれでも形式的に値切りを提示したら、逆切れされた!なんてこともありました。
でも、そういったことは比較的まれ。大抵の売り手さんは値切り交渉に「待ってました」とばかりに応戦します。交渉が始まると、これまで楽しく談笑していたのが嘘のようにシリアスな空気が流れたり、きまずい雰囲気になったりします。日本人は、ここで居た堪れなくなって「わかったわかった、もう言い値でいいです。」とつい言いたくなってしまうんですが、これも全て作戦のうち。以前はわたしもこのピリピリした空気や気まずさが居た堪れなくて、思わずクリスに「もういいよ」なんて言っていましたが、ひるまず交渉を続けて結局大幅値下げを勝ち取るクリス。「もういいよなんて横槍を入れると相手の思うツボだよ。」と言うので、もう、こういう交渉はドイツ人同士に任せることにしています。
そうして勝ち取った戦利品。日本の空気の下では、ヨーロッパの空気の下で見るのとまた違った色彩・魅力を放つらしい…ということを、母が先の記事にアップした写真で知りました。湿度や気温、緯度による光の加減と関係しているのかもしれません。
ヨーロッパで1920年代、30年代に大切に身に着けられていたアクセサリー、今度は日本で大切に身に着けてもらってね!と、感慨深いです。