スペイン・アンダルシアドライブ旅行〜グラナダ編
グラナダに着いたのは夜でした。
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これは、アルバイシン地区と言われる旧市街です。
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中世のムーア人統治時代のイスラム風建築様式が残っています。
そのせいか、夜のアルバイシンは、どことなく幻想的で、怪しげな雰囲気を醸し出していますが、治安自体はとても良かったです。スペインと言うと、治安が悪いイメージがありますが、グラナダに関して言えば、わたしの感覚ではベルリンよりもよっぽど安全に思われました。バルセロナやマドリッドなどの大都市はまた違うのかもしれませんが、グラナダの街、クリスと毎日繁華街や裏路地を歩きましたが、怪しげな人とすれ違うことは一度もなく、むしろ、ベルリンの地下鉄や市電の方がよっぽど怖いです(笑)。
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さて、アルバイシン地区、日中見ると、こんな感じの街並みです。
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オフシーズンなためか、観光客はほとんどいません。
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丘の上には、今日のハイライト、アルハンブラ宮殿が聳えています!
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アルバイシン地区からアルハンブラ宮殿へと続く小道、振り返ると…
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アルバイシンの白い街並みが見えます。このアルバイシン地区と、アルハンブラ宮殿、どちらもグラナダの世界遺産です。
では、いよいよ宮殿の中へ…
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ところで、アルハンブラ宮殿の中に入るには、チケットを事前にインターネットで予約しておいた方が良いとのこと。当日、宮殿入口にあるCaixa Bankという銀行のオートマで、決算に使ったクレジットカードを入れて指示に従って操作すれば、予約した分のチケットが出てくることになっています。…が、言われたとおりにやってもうまくいかないのはヨーロッパの常(笑)。
わたしたちも、二人分のチケットを予約したのに、出てきたのは一人分のみ。仕方がないので受付のおばちゃんの所に行ったら、このおばちゃん、英語は一言もしゃべれないそう。…まあ、日本でも観光地の受付で英語が通じないのはよくあることですが、クリスがスペイン語を話せなかったらどうなっていたか…。
クリスのドイツ語訛りのスペイン語と、おばちゃんの早口のアンダルシア訛りのスペイン語のやり取りでお互いてこずっている間、予約なしで当日券を買ってさっさと入場して行く人たちがするすると横をすり抜けて行く…!なんだ、かえって予約なんかしていなかった方が早かったかも!?…でも、夏などの行楽シーズンは混雑するそうなので、予約しておいた方が確かなのだとは思います。ただし、おばちゃん曰く、「こういうふうにオートマが故障することはよくあること」なんだとか(汗)
クリスのたどたどしいスペイン語のお陰で、無事、チケットを受け取ることができました。
気を取り直して、アルハンブラ宮殿に入城です!
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門を入ると、「ヘネラリーフェ」と言われる夏の宮殿に続く庭園に出ます。反対側の丘の上には、「アルカサバ」という砦、そして、アルハンブラ宮殿の心臓部とも言える「ナスリ宮殿」があります。
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この庭、真冬だというのに薔薇が咲き、オレンジがたわわに実っています。
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城内からは、雪を頂くシエラネバダ山脈も見えます。この宮殿内の水は、この山脈から引いてきているのだとか。
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ここから、ヘネラリーフェの宮殿が見えますが、わたしたちはまず、ナスリ宮殿へ向かいます。というのも、ナスリ宮殿への入場は制限されていて、チケットに、何時に入場できるか書かれており、その時間通りに入場することになっているからです。
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右手に見えているのが、ナスリ宮殿です。
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この門をくぐると…
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こんなに美しいのに、この宮殿にある部屋には、どれも血なまぐさい曰くがついています。それを一つ一つ数えていたら、キリがないのかもしれませんが…。
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この宮殿は、8世紀ごろ、遠く中東・アフリカからイベリア半島に押し寄せて来たイスラム教徒の王たちによって建てられたそうです。スペイン人はカトリックのキリスト教徒。異教徒による支配に抵抗する国土回復運動(レコンキスタ)が成就したのは1492年のこと。この時、イスラム最後の砦となったのが、このアルハンブラ宮殿でした。
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グラナダに着いたとき、「ここは、イスラム教徒が少ないね…というか、ほとんどいない。」とクリスが言いましたが、これはとても意味深い印象だとわたしは思います。というのも、クリスの言う通り、ベルリンや、ドイツの都市には必ずと言ってよいほどどこを見てもイスラム系の移民の人たちがたくさん歩いているのですが(街によっては、住民の半数以上がイスラム系移民という地域もあります)、ここ、グラナダには、移民どころか、イスラム圏から来た観光客すらまばらです。…かつてのイスラム帝国、ヨーロッパ最後の砦だというのに。
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ヨーロッパ人の歴史的感覚としては、常にイスラム側がこちらに押し寄せてきているというイメージがあります。ビザンツ帝国がイスラム教徒の手に落ちたのをはじめ、地中海諸国や中欧諸国は常にイスラム勢力に包囲されるという危機に直面していました。現在に至っても、国内のイスラム系移民とトラブルを抱えていないヨーロッパの国はないと言っても過言ではないほどです。世界地図を見ても、「かつてはキリスト教国だったが、今ではイスラム圏である」という地域の方が圧倒的に多く、そんな地域は、かつてのキリスト教会が今ではモスクとして使われている…という類の文化遺産に溢れています。
そんな中、キリスト教国が、イスラム勢力から国土を取り戻し、モスクの上に教会を建てたというグラナダの街は、異色を放っているようにも思われます。
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日本人の歴史的感覚からすれば、スペインといえば、安土・桃山時代の「イエズス会の宣教師」に代表されるように、他文化圏にキリスト教を広めて行った国というイメージがあるかもしれませんが、その宗教的情熱は、ここに端を発するのかも知れません。
この、アルハンブラ宮殿の、イスラムの教えに従った人物描写の全くない奇怪なモザイク模様を、レコンキスタを戦い抜いたスペインの女王はどんな気持ちで眺めていたのでしょうか。
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アルハンブラ宮殿には、オレンジやヤシなど、沢山の木々が生い茂っていますが、それらの幹に、観光客が自分の名前を落書きするので、今は落書きを厳重に禁ずる張り紙が至る所に見られますが、このアルハンブラ宮殿に、一番最初に自分の名前を落書きしたのは、ここを征服したイサベル女王だったそうです。彼女はこのモザイクの一部を切り取り、自分と夫の名前を刻んだそうです。
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イスラム教徒によって造られ、キリスト教徒によって、「破壊されなかった」この宮殿。見ていると、なんだかわけがわからなくなってくるような、不思議な感覚に襲われます。
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ナスリ宮を後にして、アルカサバの砦へ向かいます。
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砦からの景色はこんな感じ…
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まさに天空の城です!
そして、イスラム教徒の王たちが、「天国」をイメージして造ったと言われるヘネラリーフェへ。
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ここを散策していた時、イスラム圏から来たらしい男女の観光客を見かけました。わたしたちと同じように、嬉しそうに自分たちを写真に撮っている彼ら。彼らは一体、どんな気持ちでこの宮殿を見ているのでしょうか。
キリスト教圏から来たクリスと全く同じように、「何と美しく、平和な場所なんだ!」と、思っているのでしょうか。
だとしたら、本当にここは地上の楽園なのかもしれません。
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さて、そんなアルハンブラ宮殿を後にして、再びグラナダ市内へ車で下りて行くと…下界は大変なことになっていました。…というのも、グラナダの交通事情は凄まじく(笑)、ただでさえ熟練タクシー運転手でも舌を巻くほどなのに、夕方の帰宅ラッシュにつかまってしまったから!
ドイツ人の運転も荒いけれど、でも、彼らは一応規則は守るんです!…でも…ここでは突然通りから何が飛び出してくるかわかりません。
おおっとこんなものまで…
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正直、なんで街中の交差点にいきなりヘリコプターなのか、全くわかりません(笑)。
たぶん何かのモニュメントなんでしょうが…。
車で走るよりも歩いた方が早い?ということで、徒歩で再びアルバイシン地区へ向かいます。
そして、たまたま立ち寄ったのが、このインビス。
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スペインには、スペイン語でタパスと言われる軽食を出すお店がたくさんあります。ここもそんなインビスの一つですが、店内の装飾もメニューもみんなアラブ風。ここ、アルバイシン地区には、今でもアラブ系の住民がたくさん住んでいるのだとか。そしてこのアラブ・インビスの店員さん、なんとドイツ語が話せるので、わたしたちとすっかり仲良くなってしまい、タパスをサービスしてくれました。
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こちらは、「クスクス」という料理。中東・アフリカのイスラム圏のお料理です。
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ちなみに、「日本のブログに載せる」と言ったら、喜んで写真のポーズを取ってくれました。
さて、お腹も一杯になったことだし、再び街へ…
ところで、グラナダって、フラメンコ発祥の地だそうです。街の中にも、フラメンコの衣装を売るお店がいっぱいです。
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わたしたちも、見に行ってきました、フラメンコ!
グラナダのサクロモンテという丘に、かつてロマ(ジプシー)の人たちが住んでいた洞窟住居があるのですが、フラメンコは、そこでロマの人たちが踊っていた踊りなのだとか。今では、この洞窟住居を改装したバーやレストランで、本場発祥の地のフラメンコを見ることができます。
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フラメンコというと、綺麗な女性がセクシー衣装で華麗に踊る…というイメージがありませんか?実際に見てみると、だいぶ違っていました…いえ、綺麗な女性がセクシー衣装で…というのはある意味違わないかもしれませんが、「華麗」というのとはだいぶ違っているような気がします。「情熱的」という言葉だけでも足りないような…。この舞踊から伝わってくるのは、純粋な「怒り」そのもの。
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実はわたし、子供の頃から日本舞踊をやっているのですが、このフラメンコ、一見、日本舞踊とは全く正反対のように思えます。
激しいい感情表現の中でも様式美を忘れず、顔の表情をほとんど変えずに感情を表現する日本舞踊…片や、フラメンコは、髪振り乱して鬼の形相で地団太踏む…日本舞踊に比べて、あまりにあけっぴろげで、あからさまです。また、「ゲイシャの踊り」で知られるように、肌を殆ど見せないにもかかわらず妖艶な日本舞踊とは正反対に、胸元露わなセクシー衣装にスカートをまくしあげて踊るフラメンコは、妖艶というよりも、脈打つ生命そのもののような、健康さ、逞しさを感じさせます。
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このあまりにあからさまで、何の躊躇もない「怒り」をぶつけられ、一体、この踊り手たちは何を伝えたいんだろうか??何を表現しているんだろうか??と、最初はわけがわかりませんでした。
でも、幾つか演目を見ているうちに、ふと、気が付いたのです。…そうか、表現の仕方は正反対でも、言いたいこと、伝えたいことは日本舞踊の「幻お七」や「鷺娘」と変わらないのだ…と。つまり、身悶えするような情念と、世の中の不条理に対する怒りと、愛と生と…。
結局、表現方法は違っても、人間が伝えたいことというのは、古今東西、同じなのかもしれません。
(シエラネバダ編へ続く)

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