夏の再会~スイス→イタリアの旅、アルベンガ・ジェノバ編

行き当たりばったり辿り着いたアルベンガという海辺の小さな町に、急遽宿を取り、滞在することに。そこのビーチで二、三日ごろごろ過ごしたら、高山病も落ち着いてきたようです。
このアルベンガという町、特に「ザ・観光地」というわけでもなく、単に海辺の町だから地元の人たちが海水浴に訪れている場所といった感じです。国内海水浴客向けのバーやクラブなんかが沢山あり、海岸線一帯にはビーチレストランが軒を連ねています。

わたしたちもその一つに入ってみました。

ここで出されたこのツナパスタが一生忘れられないほど美味でした。
実はこの日、サッカーワールドカップの決勝戦、ドイツ対アルゼンチンの日だったのですが、わたしたちがこのレストランで食事をしながらドイツ語でサッカーの話をしていたら、隣のテーブルにいたオランダ人の家族連れのお父さんが話しかけてきました。
「ドイツから来たのか?アルゼンチンをやっつけて俺たちオランダの仇を取ってくれ!ドイツチームは素晴らしいチームだから、きっと俺たちに代わってヨーロッパサッカーの凄さを見せつけてくれるだろう!」
その後、クリスとそのオランダ人のお父さんはドイツ語・英語ごちゃ混ぜの言語でサッカーの話に花を咲かせていましたが、試合の方は、彼らの望み通りの結果となったようですね。
さて、アルベンガ滞在中に近隣の大都市であるジェノバへも足を延ばしてみることに。
ジェノバと言えば、あのヴェネチアのライバルだった港湾都市で、コロンブスが住んでいた街(出生地という説もあり)…という位しか知らなかったのですが、車で入るとこんな風に見えます。

「ヴェネチアのライバルだったのか。美しさではヴェネチアの圧勝だな。」とクリス。でも、現在の街の規模はヴェネチアよりも大きいようです。

この大きな門をくぐって旧市街に入ります。
中に入ると、ここが中世からの城塞都市だったということが一目瞭然、わかります。そそり立つような巨大な建物が幾重にも立ち並び、その中はまるで迷宮のよう。

しかも夏のバカンスシーズンのせいか、街を歩いても地元の人たちはどこにもおらず、まるでキリコの絵の中にでも迷い込んでしまったかのような気分になります。

ガイドブックも地図もなかったので、この教会の周辺を何度もぐるぐる歩き回ってしまいました。

誰もいない、中世のまま時間が止まってしまったかのような街を歩き回り、ふと見ると、そそり立つ建物の隙間から海が見えます。あ…まだ一応現在だ。

こんな感じの似たような小道を歩き回り、やっと街の中心部らしき場所にたどり着きました。

ここ、フェッラーリ広場というそうです。

こんな教会も近くにあります。
それにしてもこの街、一人旅だったらちょっと怖かったかもしれません。というのも、別に治安が悪そうだったわけではないのですが、これは現実?非現実?のような誰もいない迷宮のような中世の城塞都市を迷いながら歩くのは日中でもかなり迫力がありました。道を聞こうにも、誰もいません。近くで声がしているから、誰かいるはず!と思って近づいても、やっぱり誰もいません。人の足音、影法師が聞こえたり見えたりしても、やっぱり誰もいません。方角を見ようにも、360度そそり立つ建物に囲まれて、視界は全く開けません。クリスでも不安になったらしく、「あの街にはもう行きたくない」なんて言ってます。
まさにシュールレアリスムな街でした。