ナンシー派美術館2

では、展示室を回っていきましょう。少し日がたってしまい、順序がわからなくなっていますが。

天井も壁も家具も照明も、すべてため息の出るようなアールヌーボーの作品です。


展示室と展示室をつなぐ廊下部分は、たっぷりと日差しが差し込んでいて、

ガレやドームの作品に、キラキラと光りが踊っています。




これは、エミール・ガレの象嵌による額絵「ナンシーのガラス工場」
ガレはこの小さな額絵のようなものから、大きなテーブルやベッドまで、非常に手の込んだ象嵌の家具を数多く手掛けています。



あっ!この絵。ここに。この部屋に飾られていたんですね。

ガレのことを書かれた本に必ずと言っていいほど載せられている「工房のガレ」の絵。
この絵が飾られている部屋にはガレの手掛けた美しい象嵌のベッドがあり、ランプ台、テーブルなども象嵌で美しいモチーフが模られています。ベッドの象嵌はカゲロウが羽を開いたデザインで、「夜明け」と「夕暮」をそれぞれ表しています。
ある本によれば、ガレが家具を手掛けるに至ったのは「ある日愛情をこめて彫り上げた花瓶を引き立たせるために個性的な台が必要になった」からだと記されていました。それは、ガレ自身の手紙に書かれていたといいます。
そして銘木店に足を運んだガレは、太陽の光線で美しく輝く紫檀や紫や薔薇色の縞のある(ローズウッドでしょうか)材木を発見するのです。その材木の美しさに魅了され、その美しい木の色を生かしたいという思いに駆られたのではないでしょうか。
今はもう採り尽くされてしまったという本物のローズウッドやマホガニーの木の美しさは、アンティーク家具として出会ううことができますが、それら家具の木肌や木質が大好きな私はその時のガレの気持ちがうかがい知れる気がします。

ガレ自身がそれを飾る台として象嵌のテーブルまで作ってしまったという、「愛情をこめて作られた花瓶」とはどの花瓶だったのでしょうか。ちょっと興味がありますが、知るすべもないことですよね。
まだまだ、次回も「ナンシー派美術館」です。
