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ドイツから陸路で行くノルマンディー紀行~D-Day編~

D-Dayとは、「作戦決行日」を意味するアメリカの軍事用語ですが、史上最も有名なD-Dayと言えば第二次世界大戦中の連合軍によるノルマンディー上陸作戦です。今日はその舞台であるオマハ・ビーチと関連する博物館を見に行きます。

1944年6月6日、ドイツ軍支配下にあるフランスを開放すべく、この海岸に約200万の連合軍部隊が押し寄せました。

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現在では連合軍の戦勝を記念してこのようなモニュメントと、全ての連合国の国旗が掲揚されています。

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因みに到着時はこんなに晴れていたんですよ。それがたった数分で一番上の写真のようになってしまいました。この天気の不安定さはドーバー海峡の特徴でもあります。上陸作戦も本来は6月5日に決行予定だったはずが、悪天候で6日に延期されています。

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車を停めて降りてみると、後ろから歩いてきた家族連れの男の子が、わたしたちの車のナンバーを指さして「ドイツ人だぁ!」と叫んでいます。え?英語??そうです、この家族連れは英語を話しています。で、見渡せば周りは英語を話す観光客ばかり。モンサンミッシェルにはこんなにたくさん英語を話す旅行者はいませんでした。

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オマハ・ビーチは基本的にはこのような美しいビーチです。夏には普通に海水浴もできます。でも上陸作戦終了後には、この砂と水が血で真っ赤に染まっていたといいます。

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現在この砂浜で、ここが戦跡であることを忍ばせる当時の遺物はドイツ軍が残していったこの「戦車除け」位です。

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これが砂浜に等間隔に並んでいるのですが、説明も何もないので最初はなんだかさっぱりわかりませんでした。でも、使用されている金属の老朽化の進行度合いなどからして上陸作戦当時のものなんじゃないかと思い、スマホで調べてみたらやはりそういうことでした。

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このビーチは犬禁止ではないのでグスタフもノルマンディー上陸です。

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ビーチの目の前には普通の民家も建っています。

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こういうタイプの茅葺屋根はノルマンディー地方の特徴です。

では、ビーチの目の前の「D-Day博物館」に行ってみたいと思います。
博物館の目の前には米軍のシャーマン戦車が展示されていて、例によって英語を話す観光客たちがキャーキャーはしゃいで記念撮影していましたが、わたしたちはスルー。だって、ムンスターで見たケーニクス・ティーガー(ドイツ軍の戦車)とかに比べたら…ね。

博物館の中でも聞こえてくるのは殆ど英語。三分の二くらいが英語で残りの三分の一がフランス語。旧連合国にとっては勝利の殿堂ですからね。恐らくわたしたちは唯一の旧枢軸国からの訪問者だったと思われます。入口では、恐らく統計でも取ってるのだと思いますが「国籍は?」と聞かれました。ドイツと日本だと言うと、受付のおばちゃんからちょっと驚いたような表情で「あら、ようこそ。展示説明は英語とフランス語しかないけどいい?」と言われました。…いや、勿論かまいませんけど。でも、中に入ってみるとドイツ軍の資料ばかりで、全部ドイツ語のオリジナルの説明が見えるので英語もフランス語もいりませんでしたがw

ただ、わたしたちがドイツ語で何か言うたびに周囲の人たち(特に年配の男性)が驚いて振り返るので、最終的には殆ど日本語で会話していました。

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こちらは迎え撃つドイツ軍側の装備ですね。

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武器や軍服の多くはオリジナルのようで、近くで見るとかなりボロボロ。

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この箱には「Zündmittel für 12 Schuß, 32cm. Wk- Flak einschließlich Vorrat - Nicht werfen!」と書かれています。32センチ対空砲12発用の点火剤。予備含む。投げるな!というような所でしょうか。…いや、多分投げないと思います(汗)

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ドイツ軍の写真はこの他にも沢山撮ったんですが、連合軍の写真はこれ一枚ですw実にすみません。

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博物館の売店では左のような小さな瓶を売っていて、オマハ・ビーチの砂を自分で入れて記念に持ち帰ることができるようになっています。わたしが「やりたーい!」と言ったらクリスが「そんなのアミーのすることだ!この瓶、4,5ユーロもするじゃないか!」とブツブツ。アミーとはドイツ人がよく言う「アメリカ人」という意味の軽口、「ヤンキー」のようなものです。確かにアメリカ人観光客がメインターゲットなんだろうなぁこの商品。でも、高校生で「プライベート・ライアン」を小説で読んで以来ずーっとこの目で見てみたかったオマハ・ビーチです。クリスに付き合ってもらって、小瓶に砂入れて持ち帰りましたよ!

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因みに写真右側は「ノルマンディー産D-Dayハニー」。ミツバチが米兵の格好してシャーマン戦車に乗ってるイラストが描かれています。ラベルがしっかり英語で書かれている所がにくいですね!売り子のフランス人のおばちゃんは殆ど英語しゃべれないっていうのに。明らかにアメリカ人観光客がカモになってますね。…てわたしたちも買ってるけどw

他にもD-DayTシャツからなんちゃって軍服モドキまで、多分アメリカ人観光客がターゲットなんだろうなぁというお土産物が所狭しと並んでいました。わたしもこのD-DayTシャツ買って行って、いつも口うるさいドイツの義両親の前で着てVサインでもしてやろうかなと思ったけど、女性用サイズはありませんでした。

さて、次はもう一つの上陸ポイントとなったソード・ビーチです。

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このソード・ビーチはオマハ・ビーチに比べてごつごつした石が沢山転がっていて、すぐ目の前まで断崖絶壁が迫っています。

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ドイツ軍はこういう崖から撃ってきたんでしょうね。
ソード・ビーチの浜辺では、フランス人たちがのどかにピクニックをしていました。気温は10度前後でかなり強い風が吹いているのですが…。
因みにノルマンディー海岸を移動する際中にこんな光景を目撃しました。フランス人が、フランスパンを背中に背負って自転車に乗っています。で、オマハ・ビーチ近くの牧草地帯でその同じフランス人が仲間と一緒にやはりピクニックしているのを目にしました。繰り返しますが、気温は10度前後、強風が吹いていてかなり寒い中、です。昼間からしっかりワインも飲んています。
小説「プライベート・ライアン」の中にも、オマハ・ビーチから上陸してきたアメリカ軍兵士たちが牧草の上でのどかにピクニックするフランス人を目撃し「近くで砲弾飛び交ってるのに、フランス人は暢気だなぁ…」という描写が出てきますが、まさにその光景です。

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これから向かうのは元ドイツ軍の半地下要塞だった建物をそのまま使った軍事博物館です。
そして、このオマハ・ソード・ビーチからこの半地下要塞までの道のりで見た景色はまさに両ビーチから上陸してきた連合軍兵士たちが見た光景そのものだった…と言っても過言ではないかもしれません。感動しました。この時通った無数のノルマンディーの農村は、恐らく70年前と全く変わっていないのでしょう。時が止まったようです。車で移動中だったので残念ながら写真は撮れなかったのですが、どこまでも続くのどかな牧草地帯、寝そべる牛たち、石壁のフランスの農家、悪路…最新オプション付きの21世紀のSUVがガタガタ揺れるほどの悪路のお蔭でジープで行軍している気分を100%味わえてしまいました。

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ノルマンディーのロバ君たちです。この動物たちは放し飼いになっているので勝手に触ることができます。かなり人懐っこくてかわいかったです。

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村の教会です。こうした小さな教会も、尖塔に狙撃兵が隠れていたりしたんでしょうね。

さて、地下要塞跡に到着です。

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博物館の名前は「Le Grand Bunker Musee (大地下要塞博物館)」ドイツ語のBunkerという言葉をそのまま使っている所にフランス人の意気込みを感じますね。ドイツ語のBunker(ブンカー)という言葉は日本語だと「塹壕」と訳されるのでしょうか。でもこの建物は地下軍事施設と砲塔が一緒になった巨大なもので、「地下要塞」と言った方がよい感じです。因みに今でも一階建てで地下室のある横幅の大きい味気のない家を冗談で「Bunker」と言ったりします。

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入口にはいきなり連合軍の上陸舟艇があったりします。

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豪の入口にはガスマスクをして機関銃を撃つドイツ軍の兵士がいます。

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ドイツ軍の寝所です…というかそんなことより写真中央のハーケンクロイツ旗が、明らかに血まみれ。この赤いしみ、絶対血だろう、と。ここの展示物は全て当時の遺物を使って当時の様子を再構成しているそうですが…ここでドイツ軍兵士たちが普通に生活していた間は絶対この旗は血まみれじゃなかっただろう…と。不自然過ぎる。。

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上の写真は当時のドイツ軍の食事だそうです。画像縮小しないと貼れないので見えなくなっちゃいましたが、オリジナルの写真では「Tee-Ersatz(代用茶)」とか「Kümmel」とか書いてあるのが見えます。Kümmelはわたしもドイツに来て初めてお目にかかったものなんですが、日本語だとキャラウェイって言うそうです。ゴマみたいな種子系の香辛料です。これ、消化にいいとかで、「おなかの調子が悪い」と言っているとこれを肉料理やキャベツ料理に大量に入れられたりします。スッとするような味で、確かに日本の胃腸薬飲んだ直後のようなさっぱり感があります。

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こちらはドイツ軍の通信室。あちこちに「Der Feind hört!(敵が聞いている!)」と書かれています。傍受されてるの、わかってたんですね。
そしてこれが砲塔から見たノルマンディーの景色です。

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地下要塞付近のビーチに出てみます。

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ここにもD-Dayの記念碑が建っていますね。

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ブーツで来て正解でした。砂がふかふかサラサラすぎて、普通の靴だと中に砂が入って来て大変だったようです。因みにこのブーツはドイツ仕様のラム毛皮の裏打ちのある冬ブーツ。こんなんが4月になっても重宝するんですよ!欧州寒いです。

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海岸の草むらの中に小さなドイツ軍の塹壕跡を見つけてしまいました。説明も何もなく、当時のまま放置されていました。

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さて、こちらはプチ・D-Day。他の犬と全く仲良くできないドイツ犬のグスタフが、ノルマンディー・ビーチでイギリス人観光客の犬と遭遇してしまいました!…でも、幸い血を見ることなく(笑)犬同士即席の停戦合意に達し、ちょっとじゃれ合って解散となりました。

ソード・ビーチの近くにはフェリー乗り場があり、イギリスとの定期便が出ているようです。そのため、海岸線一帯はこのフェリーで上陸してきたイギリス人観光客でいっぱい。かつて上陸舟艇で銃弾飛び交う中やって来た彼らの孫やひ孫たちもいるのかもしれませんね。平和な時代になったものですね。

さて、戦跡巡りはここまで!グルメの時間ですよ。
モンサンミッシェルのホテルへの帰途、ノルマンディー郷土料理を出すレストランに寄りました。
このレストランは星がついてるのかついていないのかもわからないような、高級でもなんでもないレストランですが、地元の人たちの評判がやたらと良いということで、クリスが選びました。

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オードブルとワイン。このロゼ・ワインは本当に美味しかったです。わたしたちは普段ドイツのリースリンクに慣れてしまっていて、正直言ってフランスやイタリアの辛口のワインは好きじゃないんですが、このロゼは甘口じゃないのに美味しくて感動しました。わたしたちがドイツから来たと知って、ウエイターのお兄さんがわざわざ選んでくれたのです。

ウエイターのお兄さん、フランス人ですが、英語が上手で、しかもドイツ語も話せるのです。わたしたちがドイツ語で話していたら、会話に入って来てびっくりしました。どうしてドイツ語できるんですか?と聞くと、「ここへ来るお客さんたちの話を聞いていて覚えた」と言います。「ドイツ人沢山来るんですか?」と聞くと、「ここはオマハ・ビーチとモンサンミッシェルの中間地点だからね。アメリカ人とイギリス人はオマハ・ビーチに行くけど、ドイツ人と日本人はモンサンミッシェルに行くよ。で、ここで鉢合わせするんだ。」と言われました。

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こちらはフォアグラです。日本ではフォアグラステーキをよく食べましたが、これはペースト状になっていて、ドイツのレーバーヴルストのようにパンに付けて食べるようです。

で、写真にはありませんが、フォアグラの代わりにクリスが頼んだのが「内臓の燻製」というもの。これがノルマンディー特産料理らしいんですが…ものすごい匂いでした(汗)食べるのも大変だったようです。

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全体的に、フランスにしては素朴な郷土料理ですね。ドイツだったら「高級料理」で通りそうですがw
わたしは日本の高級フレンチの方が美味しいと感じましたが、クリスは大満足だったようです。

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このデザート、器までチョコでできています。
最後はこれで締め、地元産のチーズの盛り合わせです。

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さて、あすは連合軍部隊さながらドイツ目指してノルマンディーからひたすら走ります。

因みに後日談ですが、オマハ・ビーチで撮影したこの写真をD-Dayのタグ付きでインスタグラムに載せていたところ、軍服姿のフランス人から「イイネ」が来てビビりました。どうもヒストリカルゲームなどをされる方のようです。

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わたしのインスタグラムはsagimusumeです。着物の写真を主に載せています。

テーマ : 海外旅行記
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クレマチ店主(母)/アコ(娘)+クリス(娘婿)

Author:クレマチ店主(母)/アコ(娘)+クリス(娘婿)
はじめまして!
アンティークショップ「クレマチス」(http://antique-clematis.sakura.ne.jp)店主の娘、アコです。

日本の古いものは大切に、でも、新しいもの・異質なものも寛容に受け入れる…そんな母の元、小さいころから日本舞踊を習い、現「クレマチス」店舗である祖母の古い日本家屋で、着物や日本の古いものにたくさん触れる一方、ピアノや外国語を習わせてもらったり、父の趣味であるクラッシック音楽や西洋美術を身近に触れる日々を送ってきました。

そんな両親の教育が功を奏し…いや、仇となり(?)、実生活にはあまり役に立たない比較文化分野で大学に居残り、これまたあまり役に立たないドイツ語だけペラペラに。おまけに語学を通して若くてイケメンな(笑)ドイツ人の夫と出会ってしまい、海外に嫁ぐという親不孝っぷり。

そんな娘を、ずっと温かく見守ってくれていた母。そんな母が、「古いものを大切にする喜びを、少しでも多くの人と分かち合いたい」という純粋な気持ちで、亡き祖母の家で始めた小さなアンティークショップ。元々、ずっと苦楽を共にした姑である祖母の家を、大好きなアンティークに囲まれた素敵な空間にしたい…という素朴な思いから始めたこのお店が、あれよあれよという間にいろいろなご縁を引き寄せて、母はいつの間にか、昔夢見たアンティークショップの店主になってました。

「古き良きものに洋の東西はない。和と洋は、互いを引き立て合う良きパートナーになれる!」…母が「クレマチス」で体現している価値観は、わたしたち夫婦のモットーでもあります。

このブログでは、そんな母と二人三脚で、「クレマチス」のお店の情報と併せてドイツの生活・風物について少しずつ紹介していきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。

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