プロヴァンスのラベンダー製品

先回、「次はフランスのある恐ろしい村の話ですよ~」と予告しましたが、その前に、プロヴァンスのラベンダー製品の話です。

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プロヴァンスでは、至る所でこのようなラヴェンダー畑を見ることができます。ラヴェンダーは元々南フランスも含む地中海沿岸が原産地の一つですが、日本では「ラヴェンダー」と言えば北海道の富良野が有名なのではないでしょうか。実は富良野のラヴェンダーは、昭和になってからフランスの種子を輸入したのが始まりで、こちらの方がご本家なのです。余り知られていないかもしれませんが、プロヴァンスはラヴェンダーの伝統ある世界的産地なんです。

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ヨーロッパのラヴェンダーの歴史は古く、なんとギリシャ・ローマ時代にまで遡ります。
日本では専ら芳香料、或いは観賞用と考えられがちなラヴェンダーですが、ヨーロッパではれっきとした商品作物としての地位を築いています。何に使われるかと言うと…洗剤から医薬部外品、石鹸、防虫剤、食品、香水、化粧品と、多岐に渡って使用され、ラヴェンダー製品は今でもヨーロッパ人の生活と密接に結びついています。

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元々、ヨーロッパ人には「化学物質や人工物を嫌う」という性質があります。古代のガリア人やゲルマン人などの発想にそのルーツがあるようですが、例えば現代のベルリンの有名病院での話です。インフルエンザのような症状が二週間たっても治らず、ベッドからろくに起き上がれないような状態だったため薬を処方してもらおうと思って行ったのに、医師に言われたのは「カモミールかラヴェンダーを乾燥させたものを沸騰した湯で煮てその湯気を吸い込んで肺を浄化するのがいいでしょう。」一瞬本当に本気で言っているのか疑いましたよ。インフルエンザのような高熱がもう二週間も続いているのですよ。日本だったら即解熱剤処方されて点滴でしょう。

ところがヨーロッパ人の考え方では「化学物質による医薬品は自己免疫力を低下させるので良くない。緊急性のない場合は副作用のある化学薬品を処方する必要はなく、極力自然治癒力をサポートする自然療法が良い。」ということなのです。その分勿論風邪やインフルエンザなどが治るまで時間がかかりますが、例えばドイツ人は平気で二週間でも三週間でも仕事を休んで「療養」します。…そんなことして有休が勿体ない!いえいえ、それは日本人の感覚なのです。ドイツでは法律で「病欠は有給休暇とは別!」と定められ、「有給病欠」が認められているのです。医師が「病欠証明書」を発行すれば、何週間でも自宅でラヴェンダー風呂にでも入りながらゆっくり療養できるのです。因みに、大抵の医師は「病欠証明下さい。」と言えば「何日ぐらいにします?」と聞いてきます。自分の感覚で「そうですね。最初は三日位?」と言うと「じゃ、三日経っても治らなければまた来てください。延長しますので。」と言われます。

ちょっと話が逸れましたが、この「化学物質や人工物を敬遠する」というヨーロッパ人の性質は、今でも色々な方面で健在です。例えば日本で非常に便利な虫よけスプレーや洋服用の防虫剤。これ、ヨーロッパでは殆ど見かけません。勿論これには「ヨーロッパには日本ほど虫がいないから」というのもありますが、それ以上に、ヨーロッパ人は日本の虫よけスプレーや洋服用防虫剤に抵抗感を示します。理由は、肌に直接虫も寄らないような化学物質を振りかけたり、肌に触れる洋服を虫を殺すほどの毒性のある化学物質漬けにすることに抵抗があるからです。確かに、考えてみたらそれも一理あります。

で、ここで登場するのがラヴェンダーです。ラヴェンダーのポプリ袋って、日本では「芳香剤」だと思われがちですが、実はあれ、元々は防虫剤なのです。また、ラヴェンダーのアロマオイルですが、あれはヨーロッパでは「万能薬」として使用されています。リラックスするためだけでなく、肌の炎症を抑えるためにお風呂に入れたり、空気を浄化するためにお香として焚いたり、虫よけスプレーの代わりにもなります。

そんな風にいくらでも用途のあるラヴェンダーなので、今でもヨーロッパでは高い需要があります。北海道のラヴェンダー畑は、どちらかというと観光的要素が強いですが、プロヴァンスのラヴェンダー畑は観光地というよりも、日本の水田のように農村の風物詩なのです。

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また、プロヴァンスでは、至る所にデスティラリーというラヴェンダー加工作業所があります。
こちらがデスティラリーの風景です。

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大釜で収穫したラヴェンダーを蒸溜しています。
こうしたデスティラリーはラヴェンダー農場に併設されていることが多く、ラヴェンダー製品を直売していたりします。今回、そうしたラヴェンダー直売所を幾つか訪れ、ラヴェンダー製品を沢山お土産に買いました。

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そんな直売所の一つが、このお城…といっても既に廃墟ですが…この城が建てられたのはなんと13世紀だそうです。その後の宗教改革の時代、プロテスタントだった城主がスイスに亡命してしまい、その後無人となって長い間放置されていたそうです。現在の城主はラヴェンダー農場経営者。家族経営ですが、中心となっているのがわたしたちと同年代位の若い女性です。この方とお友達になり、連絡先も交換したのですが、彼女がプロヴァンスで出会った人たちの中で唯一、流暢な英語を話すことができました。

彼女から聞いたのですが、プロヴァンスのラベンダーは大きく分けて二種類あるとのことで、一つはラヴァンドと現地人が呼ぶもので、所謂普通のラヴェンダー、もう一つが現地人の言う所のラヴァンディーン。こちらは主に20世紀になってから栽培されるようになった交雑種で、効用がラヴェンダーとは微妙に違うのだとか。また、ラヴェンダーにアレルギーがある人でもラヴァンディーンではアレルギーが起こらないそうです。

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この写真に写っているのがラヴァンディーン、で、一番上のグスタフの写真がラヴェンダー??…いや、色々説明聞いたのですが、見分け方はいまいちわかりませんでしたw

さて、お土産に沢山買ったラヴェンダー製品、今早速自宅で使っていますが、とてもいいです。非常に高品質です。わたしは肌が弱いので、いつもスキンケアやバスソープ、ボディーローションなどはナチュラルコスメしか使っていませんが、普段使っているものよりも良いと感じます。特に石鹸は、天然の殺菌効果もあるので肌を傷めずに消毒できてとても便利です。

…ということで、今回はお土産のおすそ分けがあります。郵便で日本の母の店に送りますので、興味のある方は是非母の店に寄ってみてくださいね!
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クレマチ店主(母)/アコ(娘)+クリス(娘婿)

Author:クレマチ店主(母)/アコ(娘)+クリス(娘婿)
はじめまして!
アンティークショップ「クレマチス」(http://antique-clematis.sakura.ne.jp)店主の娘、アコです。

日本の古いものは大切に、でも、新しいもの・異質なものも寛容に受け入れる…そんな母の元、小さいころから日本舞踊を習い、現「クレマチス」店舗である祖母の古い日本家屋で、着物や日本の古いものにたくさん触れる一方、ピアノや外国語を習わせてもらったり、父の趣味であるクラッシック音楽や西洋美術を身近に触れる日々を送ってきました。

そんな両親の教育が功を奏し…いや、仇となり(?)、実生活にはあまり役に立たない比較文化分野で大学に居残り、これまたあまり役に立たないドイツ語だけペラペラに。おまけに語学を通して若くてイケメンな(笑)ドイツ人の夫と出会ってしまい、海外に嫁ぐという親不孝っぷり。

そんな娘を、ずっと温かく見守ってくれていた母。そんな母が、「古いものを大切にする喜びを、少しでも多くの人と分かち合いたい」という純粋な気持ちで、亡き祖母の家で始めた小さなアンティークショップ。元々、ずっと苦楽を共にした姑である祖母の家を、大好きなアンティークに囲まれた素敵な空間にしたい…という素朴な思いから始めたこのお店が、あれよあれよという間にいろいろなご縁を引き寄せて、母はいつの間にか、昔夢見たアンティークショップの店主になってました。

「古き良きものに洋の東西はない。和と洋は、互いを引き立て合う良きパートナーになれる!」…母が「クレマチス」で体現している価値観は、わたしたち夫婦のモットーでもあります。

このブログでは、そんな母と二人三脚で、「クレマチス」のお店の情報と併せてドイツの生活・風物について少しずつ紹介していきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。

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