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アルデンヌの森~バルジ大作戦の資料館を訪れて~

ドイツからの更新をちょっとサボっていましたが、ちゃんと生きてます!
最近は殆ど毎週末旅行してました。
旅行と言っても、週末を利用してヨーロッパ内をうろうろしていただけですが…

直近で、先週言ってきたのはアルデンヌ地方です。
アルデンヌというのは、ルクセンブルク・ベルギー・そしてフランスにまたがる広大な森林地帯のことで、三か国が国境を接しています。わたしたちは、フランス側の城塞ホテルに三日間滞在しました。

「城塞ホテル」というのはこちら。

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中世の城塞を改装したホテルです。「城」という名はついていても、マリー・アントワネットが住んでいるような宮殿ではなく、軍事目的で建てられた砦、つまり中世の要塞なので何の風情もありませんが…。

入り口はこんな感じ。

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城壁の中はこうなっています。

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城塞なので、部屋は簡素でしたが、実はこの日、7月13日はわたしたちの結婚記念日だったので、こんな花束が部屋に用意されていました。

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因みにこの城塞ホテルにはレストランが入っていて、お料理の方はなかなか美味しかったです。

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さて、フランスにあるこのホテルまでの道のりですが、ドイツからだと国境を越えてルクセンブルクに入り、ルクセンブルクをそのまま横断、ベルギーのアルデンヌ地方に入り、更に国境を越えてフランスに入ることになります。実はこのルート、第二次世界大戦時にフランスへ侵攻するドイツ軍が通ったルートの一つだったそうで、この地域には、今でも第二次世界大戦時の遺物が沢山残っており、それにまつわる博物館・資料館なども豊富にあります。特に有名なのは、ドイツ軍が侵攻した大戦初期ではなく、1944年12月、敗戦寸前のドイツが最後の大攻勢をかけ、不意を突かれた連合軍側に思わぬ損害をもたらした「バルジの戦い」です。戦いが行われた1944年12月を記念して、この地域にはこの年号を関した地名が幾つも残っているほどです。

逆に言えば、「それら戦争関連博物館・資料館以外これといって見るべきものがあまりない」…と、ドイツ語圏の観光情報サイトに書かれていましたが、本当にその通りで、フランス・ベルギーの中でも特に人口がまばらな地域なだけに目立つ都市もなく、また、そもそも戦争で破壊された地域なので古い町並みも一切残っていません。あるのは広大な山野のみ。しかもその山野4もアルプスやスカンジナビアのように圧巻の大自然が目の前に…というわけでもありません。ごくごく普通の森林地帯です。

ですが、誰にも邪魔されずにのんびりしたいわたしたちにとっては山野ばかりで何もない環境は打ってつけ。また、歴史に興味があるので戦争関連博物館・資料館も大好物!
…ということで、早速行ってきました。

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こちらは通称「キング・タイガー」と言われるドイツ軍の大型戦車「ティーガー2」です。

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現存しているものは殆どありません。

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こちらは「バルジの戦い」のドイツ兵を等身大のジオラマで再現したもの。

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戦い当時は極寒の真冬、しかもアルデンヌ地方は山岳地帯なので、雪が積もり、霧も出て、非常に悪天候だったといいます。この悪天候をついて、最後の「賭け」とばかりに連合軍に奇襲をかけたのがドイツ軍でした。一方でアメリカ軍を中心とした連合軍は、この悪天候、しかも森林地帯を装甲師団は通れないだろうとタカを括っていたといいます。

確かに、真夏のアルデンヌの森はこんな感じ。

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冬、雪が積もって霧が出ていたら、大変な悪路になっていそうです。

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欧州の戦争関連博物館や資料館は、等身大のジオラマや人形を使って分かりやすく再現しているものが多いです。

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ところで、この「1944年12月」博物館があるのはベルギー。ベルギーは当時中立国だったにも関わらず、ドイツ軍に蹂躙され、バルジの戦いの際には舞台となった地元集落の住民たちが巻き添えとなって多数死亡するなど、多大な被害を被った国。にも拘わらず、この博物館のスタンスはドイツ軍の残虐性を強調するでもなく、勝者の側を「ヨイショ」するでもなく、徹底して中立です。また、連合軍によって「解放された」側であるにも関わらず、展示内容は連合軍よりもむしろドイツ軍関連の方が充実しているほどです。

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それは、去年訪れたフランスのノルマンディー上陸作戦関連の博物館や資料館にも言えることですが、被害者っぷりを強調するでもなく、勝者を手放しで称賛するでもなく、あくまで中立の立場で史実を伝えようとする姿勢が伺え、とても好感が持てます。また、史実を茶化すわけでもなく、かと言って負の遺産の「負」の側面をやたらと強調するでもなく、ある種コミカルに、達観した立場から捉えようとする姿勢も、展示された等身大の人形の表情や、展示の仕方、付属の土産物店で売られているお土産類などから垣間見えます。

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そうした姿勢は、戦勝国であるイギリスの帝国戦争博物館にも見られたものです。欧州全体で、そういう風に歴史を捉え直そうとする動きが広まっているのかもしれません。

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こちらは現在のアルデンヌの風景です。
良くも悪くも「何もない地域」。ですが、誰にも邪魔されず、自然の中で、時に歴史に思いを馳せる、のどかな週末となりました。
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クレマチ店主(母)/アコ(娘)+クリス(娘婿)

Author:クレマチ店主(母)/アコ(娘)+クリス(娘婿)
はじめまして!
アンティークショップ「クレマチス」(http://antique-clematis.sakura.ne.jp)店主の娘、アコです。

日本の古いものは大切に、でも、新しいもの・異質なものも寛容に受け入れる…そんな母の元、小さいころから日本舞踊を習い、現「クレマチス」店舗である祖母の古い日本家屋で、着物や日本の古いものにたくさん触れる一方、ピアノや外国語を習わせてもらったり、父の趣味であるクラッシック音楽や西洋美術を身近に触れる日々を送ってきました。

そんな両親の教育が功を奏し…いや、仇となり(?)、実生活にはあまり役に立たない比較文化分野で大学に居残り、これまたあまり役に立たないドイツ語だけペラペラに。おまけに語学を通して若くてイケメンな(笑)ドイツ人の夫と出会ってしまい、海外に嫁ぐという親不孝っぷり。

そんな娘を、ずっと温かく見守ってくれていた母。そんな母が、「古いものを大切にする喜びを、少しでも多くの人と分かち合いたい」という純粋な気持ちで、亡き祖母の家で始めた小さなアンティークショップ。元々、ずっと苦楽を共にした姑である祖母の家を、大好きなアンティークに囲まれた素敵な空間にしたい…という素朴な思いから始めたこのお店が、あれよあれよという間にいろいろなご縁を引き寄せて、母はいつの間にか、昔夢見たアンティークショップの店主になってました。

「古き良きものに洋の東西はない。和と洋は、互いを引き立て合う良きパートナーになれる!」…母が「クレマチス」で体現している価値観は、わたしたち夫婦のモットーでもあります。

このブログでは、そんな母と二人三脚で、「クレマチス」のお店の情報と併せてドイツの生活・風物について少しずつ紹介していきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。

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