「嫁いで行く家具さんたち」4

この引き出しの真鍮のブラリと彫りが素敵でお洒落なチェストは、届いてすぐに
奥のお部屋に配置した時からずっと、来店のたびに
「わぁ、このチェスト好きだなぁ!」「やっぱりこのチェスト好き!」
と言ってくれていたNさんのお家に
嫁いで行きます。
Nさんもずっとずっと昔からの私のお友達です。
チェストが入るお部屋は1階のリビングです。
3階建てのNさん宅は2階にリビング・ダイニング、サニタリー部分や
ご主人の趣味のお部屋やピアノ室があり3階が寝室などになっています。

1階部分はお義父様がいらした寝室やL・Dやサニタリー。「キッチンも大きな素敵なキッチン」
と聞いてました。5.6年前にお義母様が亡くなられて、同じころにお義父様が病気で入退院されて、
その間ずっと仕事を続けながらしっかりサポートしてきた彼女。
いつ会っても、明るくて元気でおおらかで、毎日フル回転しているなんて微塵も感じさせないのです。
「お義父さんは病院でも看護婦さんたちに人気なんだよ」
と笑って彼女が教えてくれた、すらりとしてお洒落で素敵なお義父様。
そのお義父様を2年ほど前に見送ってしばらくしたころ
「1階のお部屋、、いつか素敵にしたいなぁ」
とポツンと言っていたのでした。
「まだ、あのままそっとしておいた方がよくないかな?」
と私は応えていたと思います。
そいて、今回
「1階のリビングに置きたいと言っていたあのチェスト、我が家に来ていただくことに
決定いたしました!」
というラインが来ました。

「以前買った紫色のランプと主人が作った木のおもちゃの作品を飾るつもり」
とも言ってました。
多趣味のご主人(北海道にツーリングに行ったり、グライダー作ったりすごいのです)
が最近始めた「動く木のおもちゃ」作り。写真を見せてもらったら、完成度が高くて
ビックリでした。一緒にいた孫のいる友人が「これいくらで買わせてもらえる?」と
真剣に聞いてましたから。
今までにもたくさんクレマチスから嫁いで行った家具さんたちが待っているNさんのおうち。
「お金を持って死ねないし、好きなものを買えばいいよ。」
と言って下さったというご主人の気持ちに
「木のおもちゃを飾る場所にするね」と、
さらりと答える優しいNさん。さすがです。
「でも、審査に合格したものだけね。とも言っておいた!」
と笑っていました。
使わなくなってしまった1階のお部屋。
アンティーク家具と「厳選されたご主人手作りの木のおもちゃ」で、みんなが集まる
お茶のお部屋になってくれると嬉しいなと思っています。