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月の兎と狼男

日本は昨日「中秋の名月」でしたね。ママのお店のかわいいお月見ステンドプレートを見ていたら、なんだか日本がとっても懐かしくなってしまいました。

ドイツには、「月を愛でる」という風習がありません。月は昔から魔女や悪魔の象徴であり、人々の心を惑わすものとされてきたようです。日本ではあまり馴染みのない「狼男伝説」…ドイツは本場なんですが、温厚な普通の男が月を見ると残忍な狼男に豹変するという筋書きです。怪しげな月の光が人間の心の闇の部分を解き放ち、狂気に駆りたてる…そんなイメージが根強いようです。ベートーヴェンのソナタ「月光」というピアノ曲をご存知ですか?物悲しく、陰鬱で、どこか不安を煽るような、暗い雰囲気だけれど神秘的で、不思議に心惹かれる美しい曲…ドイツ人が思い浮かべる「月」って、まさにそんな感じなのです。

我が家の寝室には、下の写真のように天井窓があって、

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ベッドに寝そべると、ちょうど薄雲を裾に引く世にも美しい「中秋の名月」が見えました。「うわぁ、なんて贅沢なお月見なんだろう!」と感動していると、横でドイツ人のクリスが「なんだか狼男でも出そうな月だなぁ。なんとなく落ち着かないし、心が掻き乱されて眠れないからブラインド閉めない?」なんと無風流な!「日本ではこの月は中秋の名月と言われて愛されているのよ!」とお月見と月の兎の話をしてみれば、「月のクレーターがウサギに見える?…僕には袋を担いだ男に見えるけれど…」とこれまた風情のない…。

でも、ドイツの秋って、朝晩は日本の初冬のように冷え込み、日中も気温が上がらない中、何の前触れもなく霙のような雨が降ったり、お陰で地面はぐちゃぐちゃ、深い霧が立ち込め、ずっとうす暗いのです。そんな天気の中、突然雲間から怪しく光る満月が出てくると、いかにも不気味でぞっとするのです。
それでも、出てくる月は日本と同じ。やはり見ていると心が落ち着きます。

「天の原 ふりさけみれば 春日なる みかさの山に 出でし月かも」

という、阿倍仲麻呂が異郷の地で読んだ歌を、ふっと思い出しました。

テーマ : ドイツ生活
ジャンル : 海外情報

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クレマチ店主(母)/アコ(娘)+クリス(娘婿)

Author:クレマチ店主(母)/アコ(娘)+クリス(娘婿)
はじめまして!
アンティークショップ「クレマチス」(http://antique-clematis.sakura.ne.jp)店主の娘、アコです。

日本の古いものは大切に、でも、新しいもの・異質なものも寛容に受け入れる…そんな母の元、小さいころから日本舞踊を習い、現「クレマチス」店舗である祖母の古い日本家屋で、着物や日本の古いものにたくさん触れる一方、ピアノや外国語を習わせてもらったり、父の趣味であるクラッシック音楽や西洋美術を身近に触れる日々を送ってきました。

そんな両親の教育が功を奏し…いや、仇となり(?)、実生活にはあまり役に立たない比較文化分野で大学に居残り、これまたあまり役に立たないドイツ語だけペラペラに。おまけに語学を通して若くてイケメンな(笑)ドイツ人の夫と出会ってしまい、海外に嫁ぐという親不孝っぷり。

そんな娘を、ずっと温かく見守ってくれていた母。そんな母が、「古いものを大切にする喜びを、少しでも多くの人と分かち合いたい」という純粋な気持ちで、亡き祖母の家で始めた小さなアンティークショップ。元々、ずっと苦楽を共にした姑である祖母の家を、大好きなアンティークに囲まれた素敵な空間にしたい…という素朴な思いから始めたこのお店が、あれよあれよという間にいろいろなご縁を引き寄せて、母はいつの間にか、昔夢見たアンティークショップの店主になってました。

「古き良きものに洋の東西はない。和と洋は、互いを引き立て合う良きパートナーになれる!」…母が「クレマチス」で体現している価値観は、わたしたち夫婦のモットーでもあります。

このブログでは、そんな母と二人三脚で、「クレマチス」のお店の情報と併せてドイツの生活・風物について少しずつ紹介していきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。

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