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天使と鉱夫

先回の記事では、ドイツのクリスマスマーケットについて書きましたが、今回は、そのクリスマスマーケットでよく見かける、ドイツの伝統的なクリスマス飾りの一つを紹介したいと思います。

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ドイツのクリスマスマーケットでは、上の写真のような小さな屋台で、伝統的な木製のクリスマス飾りがよく売られています。
中でもよく見かけるのが、このような一対のかわいらしい人形です。

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両手に灯りを持ち、仲睦まじいカップルのようにも見えますが…これ、実は、左側は天使、そして、右側の男性は、鉱山で働く労働者なのです。この服装は、昔のドイツの鉱山労働者の制服を表しているのです。
…クリスマスの飾りなのだから、とりあえず天使はわかるとしても、なぜ、鉱山労働者なのでしょうか。その背景には、ドイツの悲しい歴史があるのです。

このペア人形をはじめ、ドイツの伝統的なクリスマス飾りの故郷は、旧東ドイツのザクセン州にあるErzgebirge(エルツゲビルゲ)という地方です。日本では、「エルツ山地」として知られています。16世紀、この地に鉱山が開かれ、その後約200年に渡って採掘が行われることになります。この鉱山での辛い労働に送り込まれたのが、エルツ地方の家庭の青少年たちでした。

当時の鉱山での労働は、厳しく、危険なものでした。若者たちは、まだ日が昇らない真っ暗な早朝のうちに坑内に送り込まれ、日中ずっと過酷な労働を続けた後、すっかり日が落ち、再び真っ暗になった後にやっと帰路に着きました。そのため、彼らが日の光を見ることはほとんどなかったと言われています。
また、坑内では頻繁に事故が起こり、その度に、大勢の若者たちが死んでいきました。

それでも、貧しかった当時のエルツ地方の人々は、そんな息子たちや若い夫の鉱山労働によって生計を立てるしかありませんでした。

家族のために、暗がりの中で、いつ命を落とすかもわからない鉱山労働に従事する若者たちを思って、この地方の人々が作り始めたのが、この天使と鉱夫がペアになった人形だったのです。

天使の人形は、鉱山で働く若者たちが見ることのできなかった光を表しているのです。…彼らの働く暗い坑道、家族の元へ続く暗い帰路を、いつも天使が照らしてくれますように…そして、せめて心の中では、いつも温かい愛の光が灯っていますように…どうか、息子を、夫をお守りください…この人形には、そんなエルツ地方の人々の願いが込められているのです。

現在、ドイツで最もポピュラーなクリスマスのモチーフの一つとなった「天使と鉱夫」。家族のために、辛い労働に励む人と、そんな家族の帰りを祈りながら待つ人が、クリスマスには一緒に家で平和な一時を過ごせますように…そんな願いを象徴しているようです。

テーマ : ドイツ生活
ジャンル : 海外情報

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クレマチ店主(母)/アコ(娘)+クリス(娘婿)

Author:クレマチ店主(母)/アコ(娘)+クリス(娘婿)
はじめまして!
アンティークショップ「クレマチス」(http://antique-clematis.sakura.ne.jp)店主の娘、アコです。

日本の古いものは大切に、でも、新しいもの・異質なものも寛容に受け入れる…そんな母の元、小さいころから日本舞踊を習い、現「クレマチス」店舗である祖母の古い日本家屋で、着物や日本の古いものにたくさん触れる一方、ピアノや外国語を習わせてもらったり、父の趣味であるクラッシック音楽や西洋美術を身近に触れる日々を送ってきました。

そんな両親の教育が功を奏し…いや、仇となり(?)、実生活にはあまり役に立たない比較文化分野で大学に居残り、これまたあまり役に立たないドイツ語だけペラペラに。おまけに語学を通して若くてイケメンな(笑)ドイツ人の夫と出会ってしまい、海外に嫁ぐという親不孝っぷり。

そんな娘を、ずっと温かく見守ってくれていた母。そんな母が、「古いものを大切にする喜びを、少しでも多くの人と分かち合いたい」という純粋な気持ちで、亡き祖母の家で始めた小さなアンティークショップ。元々、ずっと苦楽を共にした姑である祖母の家を、大好きなアンティークに囲まれた素敵な空間にしたい…という素朴な思いから始めたこのお店が、あれよあれよという間にいろいろなご縁を引き寄せて、母はいつの間にか、昔夢見たアンティークショップの店主になってました。

「古き良きものに洋の東西はない。和と洋は、互いを引き立て合う良きパートナーになれる!」…母が「クレマチス」で体現している価値観は、わたしたち夫婦のモットーでもあります。

このブログでは、そんな母と二人三脚で、「クレマチス」のお店の情報と併せてドイツの生活・風物について少しずつ紹介していきたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。

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